血が、汗が、涙が、デザインできるか
圧倒的なパワーを放つスライドショーが始まり、「EIKO on STAGE」の文字が出ただけで、歓声と拍手が湧いた。NYでデザイナーというエリート意識をすべて脱ぎ捨て、自由の身になった石岡瑛子。「自分がエキサイトできる仕事だけをすること」。氏の語るエンターテインメントデザインとは、この上なくシンプルで純粋な欲望のことであった。グラフィック、映画、舞台、サーカス。どんなフィールドへ翔いても、氏のスタンスは変わることはない。結局は血が、汗が、涙がデザインできるか。自分の中に情熱がなければ伝わるはずはないという言葉は、すべてのクリエイターが忘れてはならない原点ではないだろうか。石岡瑛子は厳しい評論家にジャッジされるほど燃える。見たことのない物への挑戦ほど燃える。オーダーが困難なほど燃える。高いハードルを超えた人だけが味わえる、スリル、喜び、興奮。氏の繰り広げるエンターテインメントは、国籍や性別を超えて「個」の価値を追求する、ゆるぎない意志力が作りあげている。(吉)
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