松岡正剛(日)

笑いも編集してしまう松岡氏

笑わせようと思って来たんじゃないよと前置きしながらモンティパイソンのコント、チャップリンや寅さんのワンシーンなどを解説つきで見せる松岡氏。場内は何度も笑いで包まれた。笑いとは、擬装、模倣、リフレイン、ジェスチャーなどによるもので、そこに何らかのズレや、イレギュラーさを感じたときに生じるものだという。だから、元を知っていないと笑えない、という真理に会場中が頷いた。
話は笑いをベースに物語の歴史にまで及び、ギリシア神話も寅さんも英雄がでてくる物語は、旅立ち、出会い、そして帰る、という流れがある。また、悲劇も喜劇もアナロギア(推理)、ミメーシス(模倣)、パロディアという3要素でできているという。そして日本の笑いの原型はそれらをそぎ落とした狂言であると結んだ。笑いと物語という世界が、深く、そして広がってゆき、続きをもっと聞かせて、という焦燥感で終わった。(坂)

柳家小ゑん(日)
モデレーター:松岡正剛(日)

笑いのなかに、広告コピーの起源を見た?

発砲スチロールの座布団が敷き詰められた室内。ここは寄席。たった今別のブースで笑いについて語った松岡氏が小ゑん師匠を紹介する。工業大出身で天文学に造詣が深い異色の落語家とのこと。登場するやいなや若い人ばっかりでいいねー、普段はじじいとばばあの佃煮で・・・とのっけからみな大爆笑。そして新作落語「ぐつぐつ」というおでんやが舞台のものを披露した。おでんやのおやじとお客のやりとりだけとおもいきや、もとい、おでんのタネ同士が「こんにゃく、おまえあっちいけよ、ヌルヌルして気持ち悪いんだよー」「はんぺんちゃんはかわいいね」といった具合。普段想像もしない風景が浮かぶ。
後半は松岡氏と師匠が「雑俳」について語った。江戸時代の言葉遊びで「不思議大好き」という銘コピーに対し「薄着大好き」としゃれたり、さらにその上に“効き”という七・七を付けて意味を広げゆく形式もある。気になる人は「うまいねどぉ〜も川柳道場」というHPを見るしかない。

[ライター] 池端宏介/是方法光/坂本順子/紫牟田伸子/長谷川直子/久永理/武藤櫻子/吉岡奈穂/Maggie Hohle/Brian Palmer, Jacque Lange(ICOGRADA)/Nicole Rechia/Trysh Wahlig/Gitte Waldman/Robert Zolna
[撮影] 浅井美光/勝田安彦/水谷文彦