広がる、選ぶ、伝えるデザイン
「新しいものが古いものに取って変わるのではなく、古いものが新しいものを受け入れ、選択肢が広がるのである」との原氏の一声から始まったディスカッション。国際色豊かな会場は、人々の熱気と期待感に包まれた。
情報化社会が進んでも、手紙が全てE-MAILになるわけでも、新聞や印刷物がなくなるわけでもない。デザイナーはどのようなメディアを選択していくのかが、情報を伝える上で重要となるのだ。原氏は、手掛けた病院内の洗濯のできる布製のサインや、紙に文字をプレス加工した本を例に出し、「SENSUOS/感覚」で伝えるデザインや「HAPTC/触覚を喜ばせる」デザインのあり方を示した。
マッコイ氏は単にメッセージを整理すれば受け手に伝わるというものではなく、文化的な同意や共通の理解を知った上でデザインをし、初めて受け手に伝わる。という受け手を中心としたデザインについて考えを述べた。
平野氏はナショナリズムの観点から情報の美を考え、日本人の美意識を象徴するものとして伊勢神宮を訪れた。美は神の意志であり、伝える内容の本質を見抜き、具体化させることこそが重要なのであると語った。
ワーマン氏は、デザインに限らず、新しいものが次々に生み出される中で、何かが何かに優れているのではなく、選択肢が次々に広がっていくのだと述べた。VISUALOGUEで多くの人交流し、オープンな気持ちで深く考えを分ち合って欲しいと司会を勤めたシュナイダー氏がまとめ、ディスカッションは和やかな雰囲気で終了した。(櫻)
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