世界を良くするデザインを
「誰も来ないかと思ったわ!」というブリンコー氏の言葉を裏切り、会場は満席。地球環境問題への関心の高さが伺えた。前半のプレゼンテーションを行ったカルシ氏は、世界は膨れ上がっているにも関わらず、生態系は成長していないことを指摘。貧しい国から富める国へ、未来から今へという消費の流れを止めなければ、環境はさらに破壊されこの世界を持続することは不可能だと述べた。だからこそ私たちはクリエイターとして、消費者として、意識を変えなければならないと。確かに広告は商品を売るという過程で力になってきた。しかしこれからは、ビジネスが社会責任であることを自覚しなければならない。消費のコントロールを考えなければならない。「皆が敗者になれば、皆が勝者になれる」。氏の言葉に会場からは大きな拍手が湧いた。続くブリンコー氏もデザイナーが今の世界を作ってきたことを認め、今後は社会を良くする方向に力を使いたいと呼びかけた。たとえば企業のブランディングを担うとき、ただ格好いいマークや目を引くビジュアルを作るのではなく、企業の行動の仕方、あるいは企業そのものを育てて欲しいと提案。企業が社会的責任を負うとき、同時にデザイナーにも社会的責任があると、クリエイターの立つべき位置を示した。氏は社会・経済・環境の調和がとれたとき、初めてサスティナブル(持続可能)な世界が生まれると語る。そのためにデザイナーが必要だと断言する。さて、あなたのデザインは世界を幸福にしているだろうか。(吉)
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