文字は言葉のコスチューム
開場前から、両氏の話を聞こうと長蛇の列ができ、場内はすぐ満員となった。「真面目な話をしようとして興奮しています」と浅葉氏の冗談に会場は湧き、講演はスタートした。
文字は洞窟や岩壁に描いた岩画から始まり、象形文字を経て、今使われている文字へと移り変わっていった。文字は時間や空間を超越して、物事を伝達するという力を持っている。しかしながら、文字自身が力を持っているというわけではない。人間が持つ言語能力、言葉が乗り移って初めて文字が力を持つ。つまり、文字は言葉のコスチュームなのであると西田氏は言う。
文字には3つの側面がある。1つは書かれた表面的な物としての文字。2つは言語学的な意味を持つ文字。3つ目は芸術的な想像意欲をかき立てる文字である。3つ目の側面がデザイナーにとっては最も注目すべき部分なのだ。クリエイティブとは「集中して、接触して、摩擦して、離脱する」ものである。「自分の気に入った文字を深く掘り下げ、諦めずに、新しい文字の顔を生み出すようなデザインを作って欲しい」と浅葉氏は会場で目を輝かせる若きデザイナー達にエールを送った。(櫻)
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