数列が隠れた、ロジカルなデザインとは
今日の講演の前にすでに2週間ほど日本に滞在し、沢山の学生たちとタイポグラフィについてセッションしてきたバウマン夫妻。日本で過ごした時間はとても楽しかったと挨拶。夫妻が紹介したのは「SIEMENS」のCIの仕事。シーメンスはドイツ最大の企業でその分野は医学、携帯電話、風力発電、空港建設など多岐に渡り、その傘下には600もの企業があるという。だから親会社だけでなく子会社のことまで考えながらフォントの形状、色彩、配置などを構築する必要があった。
そこで夫妻が用いたのが、「フィボナッチ数列」だ。アラビア数字を伝えたと言われるイタリアの数学者の原理で、1、1、2、3、5、8、13と前の数字を足していくものだ。その比率は巻き貝などの自然界や、またバイオリン、名画の構図などにも見られる黄金比だ。この数学原理のなかに企業が成功し、発展してゆく姿を見ることができ、それをロゴに投影してゆく夫妻。ロジカルなドイツならではのお国柄を垣間見たような気がする。なぜそのようなデザインを思いついたのか、という素朴な市民の問いかけに、納得のゆくまで説明してくれる、説明できる、そんなインテリジェンスを感じた。(坂)
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