自分自身を貫くアイデンティティ
インターネットなどのメディアの発達はプロとアマの垣根を低くし、アート活動の一メディアとして地位を確立。あるいはグラフィティやTシャツをメディアに表現する者もいる。メディアの多様性と情報の氾濫は現代アートに影響し複雑にした。アートはファッションのように消費され忘れ去られることから逃れなくてはならない文化だ。長谷川氏が紹介したアートクリエイタ−はメディアの特性を活かし、情報の選別と再構成を行い、各々の地理的・文化的アイデンティティを誇示していた。これはグラフィックデザインに照らし合わすことができる。個人のインプットの個性がアウトプットの独創性になるのだ。ディスカッションでは両氏から示唆に富む発言が出る。意識や情報を共有する場としてマスメディアのような一方的なメディアではなく、生の声が飛び交うコミュニティやフォーラムをもっと設け、クリエイタ−が自身のアイデンティティを確立し育つようにすることが重要と長谷川氏。またタナカ氏は溢れる情報の中から選別する力を育て、まだ情報化されていない自然物や現場レベルで感じ取れるものにヒントが隠されているのではないかと結んだ。自発的で能動的なクリエイタ−のスタンスが望まれる。(池)
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