目に見えないコミュニケーションのあり方を探り出す。
深澤直人 Naoto Fukasawa プロダクトデザイナー / 日本
会議のテーマ「VISUALOGUE-情報の美 (VISUALOGUE: quality of information)」から、何をイメージされますか?

コミュニケーションの内容だけでなく、お互いの深い意志や微妙なニュアンスまでもが伝わる。たとえば無言でもつながるような会議の方法。言葉や音だけでなく、音や空気や温度までもが伝わるような五感の複合を情報とすること。

あなたの活動における最近のテーマ、あるいは最近のあなたの中にある「問い」は何ですか?

作るのではなく探し出すこと。デザインを客観的にとらえ、主観や個人の主張が表立って現れないデザイン。

今回の会議に対し、どのような期待をお持ちですか?または、どのような成果がもたらされることを期待しますか?

グラフィックデザインや情報デザインといったようにデザインをカテゴリ−化せず、人間を含めた環境という定義を理解した上でのコミュニケーションを期待します。デザイン全体がクロスオーバーした上での適正な解を見出せたらいいと思います。

会議に参加するデザインを学ぶ学生や若いデザイナーへのメッセージ

どのようなデザイナーになりたいかは簡単には決まらないと思いますが、常に単純な解決策を見出し、あらゆる方面で力が発揮できるデザイナーになるきっかけをつかんでほしい。デザインを社会的な活動と感じてほしい。

クライアントに対し、これまでどのようなパートナーシップをとられてきました か?また/あるいは、今後どのような関係を築きたいとお考えですか?

クライアントの依頼をそのまま具現化するのではなく、将来的にクライアントの利になるようなデザインを心掛けている。クライアントが整理できない複雑な要因を直感的にとらえ、細かく分析し明確な答えを導き出すことが、役目だと思っている。クライアントが持つデザインあるいは、デザイナーのすでに持つ力を十分に生かして方向性を出すようにしている。外部DESIGN DIRECTORとしての役目が多い。

地域/文化的衝突、世界的な不況など課題の多い現代社会に対し、デザイナーはどのように貢献できるとお考えですか?

人や環境を中心にデザインをとらえれば、答えはそんなにいくつもないと思います。金や競争のためにデザインする以上に社会的にどのようにデザインを生かすかによってデザイナーは最も策を具現化する力があると思います。

これからの社会におけるデザイナーという職能の意義と可能性をどのようにお考えですか? 社会的な立場から国や地域や人々がデザイナーの力をより扱いこなし、わきまえをもって具体化すれば、あらゆる方面でデザイナーの力が役立つと思います。「Visual thinking」これはデザイナーの持つ才能です。思考を具体化できる力をもっと生かすべきです。

本会議において、どんなメッセージを伝えたいとお考えですか?

目にみえないコミュニケーションのあり方を探り出したい。

本会議に先立ち、Icogradaによるデザイン教育者のための国際的なフォーラムが併催されます。デザイン教育に対するあなたの考えをお教えください。 日本というカルチャーの中だけで教育をするのでなく、よりインターナショナルな視点でデザインの教育を考えるべき。